アスファルト防水は、100年以上の歴史を持ち、ビルで最も多く採用されている信頼性の高い方法です。アスファルトとシート状のアスファルトルーフィング、アスファルトフェルトなどを何層にも重ねて防水層をつくります。防水工事は、防水層の位置により「埋め込みタイプ(保護防水)」と「露出タイプ(露出防水)」に分かれますが、防水層の上にコンクリートなどを被せることができるのは、通常はアスファルト防水だけです。
埋め込みタイプ
「埋め込みタイプ」は、防水層が外傷を受けにくいことから屋上やベランダなど、人が歩く場所に向いています。日光による劣化は受けにくいメリットがありますが、雨漏りした場合は、原因箇所の確認が難しいため、部分改修では済まず全面改修になることがあります。
露出タイプ
「露出タイプ」は、人がほとんど足を踏み入れない屋上に向いています。防水層の状態を確認しやすいため、補修により雨漏りを未然に防ぎやすく、雨漏りした場合でも、部分補修で済み、費用も少なくて済むメリットがあります。ただし外傷に弱く、下地の水分により防水層が膨れることもあります。
アスファルト防水は、全般的に長寿命という特徴もありますが、施工時にアスファルトを高温で溶かすため、煙や臭気で近隣からの苦情を招きやすいという問題があります。そのため、住宅地での施工には向いていません。
(1)塩ビシート防水
「塩ビシート防水とは、塩化ビニールの防水シートを接着剤などで下地に張り付ける方法です。単層であるうえ、加工・施工がしやすいため、複雑な形状や狭い場所にも向いています。防水層自体が工場でつくられているため、品質が安定しておりカラーバリエーションがあるのも魅力です。ディスク板などで固定し、雨が降った後でも施工できる機械固定工法があるので、工期がさらに短縮できます。
(2)ゴムシート防水
「ゴムシート防水は、ゴムシートを接着剤などで下地に張り付ける方法です。塩ビシート防水とは小さなシートを重ね合わせてつないでいくという点で異なるため、接合部分の耐用年数に注意が必要です。一方、塩ビシート防水より耐候性・耐薬性・防音性に優れています。
(3)改質アスファルト防水(トーチ工法)
「改質アスファルト防水とは、アスファルトに合成ゴムなどを混ぜて柔軟性を高めたシート状のものを、バーナーで溶かしながら下地に張り付けていく方法です。シート防水に分類されますが、アスファルト防水より施工がしやすく、低コストで煙や臭気の問題がほとんど発生しないメリットがあります。
(1)ウレタン防水
「ウレタン防水は、塗膜防水の代表で、液状のウレタンを塗り防水層をつくる方法です。そのため、下地の形状に馴染みやすく、下地が平面でなくても使用が可能です。また、塗るだけですので、既存の防水工事の上からでも施工できます。
(2)FRP防水
「FRP防水は、ガラス繊維を混ぜて強化した繊維強化プラスチック(FRP)を塗り、防水層をつくる方法です。下地が平面でなくても使用可能な点や、既存の防水工事の上から施工可能な点は、ウレタン防水と共通しています。大きな違いは、FRPは軽量なうえ引っ張り強度や曲げ強度が高く、耐酸・耐候性にも優れているという素材の特性にあります。サーフボード・船・浴槽などでよく使用されているという点で、お馴染みの素材です。防水素材としては新しくお勧めの素材ですが、費用は若干高くなります。